山口智也

Multiple Importance SamplingによるImage-space Control Variates を用いたレンダリングシーン編集法の改善

第17回ビジュアル情報処理研究合宿

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大域照明を考慮することで写実的な画像を生成す
ることは, コンピュータグラフィクスにおいて重要な 処理の一つである. 大域照明計算法の一つであるパス トレーシング法 [1] は, モンテカルロ積分により物理 現象に忠実な画像を生成できる. 具体的には, カメラ から光源に至る光輸送経路を確率的にサンプルする ことで画素の色を決定する. 画素値の決定に用いる光 輸送経路のサンプル数 (Sample Per Pixel, 以後 SPP と記す) を増やすことで物理的に正しい正解画像へと 収束する. 一方で, サンプル数の増加とともに計算時 間も増加するため, より少ない時間で同等の画像を得 るための手法が多く提案されてきた. シーン内のオブジェクトの性質を変更することを
シーン編集と呼ぶ. CG の作成現場では理想的な シーンを作成するために, アーティストによって何度 もシーン編集が行われる. この際, Autodesk Maya 等の商用ソフトウェアでは, シーンが少し編集され ただけでも全体が再度レンダリングされる. 一方 で, もし編集前のレンダリング結果を上手く利用で きれば, この計算コストを低減できる可能性がある. Rousselle ら [2] は, シーン編集に対してサンプル数 の多い編集前の高品質な画像 H0 と編集前のシーン をサンプル数を少なくしてレンダリングした低品質 画像 H1, 編集後のシーンをサンプル数を少なくして レンダリングした低品質画像 F1 を利用した差分画像 D1 = F1 −H1 を用いて, 編集後の高品質な画像をよ り少ない計算コストでレンダリングする手法を提案 した. しかし, 制限としてサンプル数の少ない編集前 後の画像描画時に同一の光輸送経路を用いなければ ならない. Rousselle ら [2] は編集後の材質の光の反 射率分布関数 BRDF を用いて, 光の反射分布が大き い経路をサンプリングしている. そのため編集前後で 材質の BRDF が異なっていると編集前の画像の収束 が遅くなり, 差分画像D1 の収束も遅くなる. 本稿では Rousselle ら [2] の手法に Veach ら [3] の Multiple Importance Sampling(以後, MIS と記す) を適用することで, シーン編集前後の差分画像を生成する手法を提案し, レンダリングシーン編集法を改善 する.